ランドセルは6年間ほぼ毎日使うものですから、丈夫で長持ちする商品を選びたいですよね。とくに男の子の場合、活発に動いているうちに傷をつけたり変形したりすることもあるため、丈夫さを重視される方は多いと思います。
ランドセルメーカーでは、丈夫で長持ちする商品を開発するため、さまざまな工夫を施しています。その工夫もチェック項目にすることで、ランドセル選びがしやすくなるでしょう。ここでは、丈夫なランドセルを選ぶポイントをいくつか紹介します。
素材をチェック!
ランドセルの丈夫さを見極めるポイントの一つが、素材です。一般的なランドセルに使われる素材は、「天然皮革」と「人工皮革」に大きく分けられます。丈夫さの観点から、それぞれの特徴を解説しましょう。
天然皮革の丈夫さは?
天然皮革の中でも、牛革やコートバン(馬のお尻の革)などがランドセルに多く用いられる素材です。これらの素材は、丈夫さの点で人工皮革よりも優れており、ちょっと傷が付いても使い込んでいくうちに味わいとなって自然に馴染む点も特徴です。
また、天然皮革は「しなやかな素材」であることも特徴の一つ。ランドセルを着脱するときに肩ベルトを強く引っ張っても、天然皮革特有のしなやかさで、ちぎれることはほとんどありません。
とりわけコートバンは、ランドセルに使われる素材のなかで耐久性に優れているといわれ、6年間使い続けるのに適しています。
人工皮革の丈夫さは?
クラリーノやベルバイオなどの種類がある人工皮革は、防水性に優れていることが特徴のひとつです。水に弱いとされる天然皮革でも撥水加工などの工夫により防水性は高まっていますが、人工皮革は元の素材が防水性に優れていることもあって、雨の多い地域などに適しているでしょう。
また、傷に強いことも人工皮革の特徴です。クラリーノの一種である「タフロック」という素材は、高密度ウレタン層の表面に特殊処理をおこなうことで、ひっかき傷や撥水性に優れた素材として注目を集めています。
ただ、天然皮革と比べて耐久性は劣勢であることも事実。型崩れしやすいなどの欠点もありますが、最近では補強構造などに工夫して丈夫なランドセルも登場しています。
天然・人工を使い分けた丈夫なランドセルも
天然皮革にも人工皮革にも、それぞれにメリット・デメリットがありますが、それぞれのメリットを適材適所に用いることで丈夫で耐久性に優れたランドセルを提供するメーカーもあります。
たとえば、池田屋ランドセルの場合、負担のかかる肩ベルトや下ベルトなどには引き裂きに強く身体になじみやすい牛革を使用し、雨に濡れやすいカブセや汗で濡れる背あてなどには防水性に優れた人工皮革を使用するといった、ハイブリッド構造のランドセルを提供しています。
ほかにも、素材のデメリットをカバーすることで耐久性を高めているメーカーもありますので、こうした工夫も丈夫なランドセルを選ぶポイントになります。
補強構造をチェック!
ランドセルの上に座ったり背負ったまま壁に寄りかかったりすると、教材などを入れる「大マチ」が変形することがあります。これを防ぐためメーカーでは、大マチに補強材(芯材)を用いてランドセルの強度を高める工夫を施しています。
具体的には、以下のような補強構造を採用するところが多いようです。
高強度プラスチック樹脂の芯材を埋め込む
大マチの側面などに、耐久性に優れたプラスチック樹脂などの芯材を埋め込み、変形を防ぐ方法です。この芯材の開発に力を入れているランドセルメーカーは多く、子どもが座ったり押し付けたりしても簡単に変形しないよう工夫を施しています。
フレーム一体型の芯材で大マチを覆う
大マチの側面や底面などを覆う「コの字型」のフレーム(芯材)を埋め込み、肩崩れを防ぐ方法です。3面を覆うフレームを埋め込むことで、より強度の高いランドセルに仕上がります。
たとえば、セイバンでは「321構造」と呼ばれる補強構造を採用しています。大マチの側面と底面の三面を独自開発のフレームと芯材を用いた二重構造にすることで、ランドセルにかかる圧力を分散させて型崩れを防ぐ工夫をしています。
いろいろな場所に補強材を埋め込む
大マチの側面だけでなく、上部に補強材を埋め込んで上からかかる力を分散させたり、取出口に樹脂やワイヤーを付けたりといった工夫をしているランドセルメーカーもあります。
フィットちゃんランドセルが、まさにこの構造です。こちらもフレーム一体型の芯材で大マチの3面を覆い、さらに取出口部にもコの字型のフレームを埋め込むことで、型崩れしにくいランドセルを提供しています。
パーツをチェック!
普段あまり気にしない小さなパーツにも、ランドセルの強度を高める工夫が施されています。いくつか紹介しましょう。
背カン
背カンとは、ランドセル本体と肩ベルトをつなぐパーツのこと。プラスチック製が主流ですが、金属製の背カンもあります。ランドセル全体の重量がかかる部位で、各メーカーが工夫を凝らすパーツの一つです。
背カンは、左右や前後に動く商品もあります。これは、背負いやすくするためで、左右や前後に動きながら体にフィットする場所に調整しているのです。ただ、丈夫さの観点でみると、この動きも負荷をかける一因になります。
ランドセル選びで背カンを見るときは、丈夫な素材が使われているかを確認しましょう。多くの商品には、非常に強度のあるプラスチックが使われていますから6年間使い続けても問題ありません。ただし、たまにプラスチックが薄かったり、細い金属が使われていたりする商品もあるため、商品を比べながら確認されることをおすすめします。
肩ベルトの縫い目
ランドセルの縫製は、オートメーション化された機械縫いやミシンで縫われるのが一般的です。ただし、負荷のかかりやすい肩ベルトや背あてに関しては、強度を高めるため手縫いで対応しているメーカーもあります。
ミシンだと、縫い糸の一部が切れると、パラパラと連鎖してほつれる可能性があります。このため、主に工房系のランドセルメーカーでは職人が手縫いでほつれにくい縫製を行っています。
「手縫いが良い」とは限りませんが、ランドセルを選ぶ際には、肩ベルトや背あてなどの縫い目にも丈夫にするためのこだわりがあるかもチェックすると良いでしょう。
まとめ
ランドセルメーカーでは、6年間使い続けられる商品を提供するため、強度や耐久性に関するさまざまな工夫を施しています。こうした工夫について、ホームページに掲載しているメーカーもありますから、丈夫なランドセルを選びたい方は各社がどんなこだわりを持っているかをチェックすると、選びやすくなるかもしれません。
また、保証内容も丈夫さを見極めるポイントの一つ。手厚い保証の付いたランドセルメーカーは、それだけ「丈夫なランドセルだから壊れない」という自信を持っている証拠でもあります。万が一、壊れても安心ですから、保証内容の比較を忘れずに確認してください。