ランドセルのカラーバリエーションは、年々増えているように感じます。一昔前は「男の子は黒」「女の子は赤」が定番でしたが、最近では女の子にも黒や寒色系カラーのランドセルに人気が集まり、性別は関係なく好みが重視される時代になったといえそうです。
ところで、ランドセルのカラーが与える印象について考えたことはありますか?
たとえば、奇抜で目立つ色のランドセルを子どもが選ぼうとすると、別の色に変えたいと親が思うのには、どんな理由があるのでしょうか?
ランドセルに限らず、カラーには人に強い印象を与える力があります。
今回はそんな色についての話をお伝えしましょう。
男の子に人気のランドセルカラー
まずは、男の子に人気がある色の印象を紹介しましょう。人気色は、ランドセル工業会調べの「購入したランドセルの色」のトップ5を選びました(※)。
※ランドセル工業会「ランドセル購入に関する調査 2021年」
「黒」のランドセルが与えるイメージ
- 高級感
- 安定感
- ファッションに合わせやすい
- 子どもを大きく見せる
男の子の定番カラーといえば「黒」。カラーバリエーションが豊富になったとはいえ、現在でも6割以上の子に選ばれるカラーです。モノトーンカラーは、どんな服にも合わせやすいのが、特徴の一つ。飽きにくく、また汚れが目立ちにくいからと選ぶ親ごさんも多いようです。
「紺(ネイビー)」のランドセルが与えるイメージ
- 知的
- 真面目
- 信頼感
- 安定感
黒に次いで男の子に人気なのが、「紺(ネイビー)」。クールで落ち着いた雰囲気から、最近は女の子にも人気が出ているようです。黒と同じく飽きにくい色で、流行に左右されない点も人気の理由です。
「青」のランドセルが与えるイメージ
- 誠実
- 知的
- 清潔感
- 解放感
「青」のランドセルは、「黒だとオリジナリティがないから少し違った色がいい」という方が選ぶ傾向があるようです。青には、集中力を高めたり心を落ち着かせたりする心理的効果があります。テニスコートや陸上トラックに青が採用されるのも、この効果のためだといわれます。
「緑」のランドセルが与えるイメージ
- 調和
- 落ち着き
- 優しい
- 気品がある
少数派ながら、ナチュラルカラーの「緑」も最近増えてきているカラーです。とくに、深い緑は、「見た目は黒だけど、光の加減で緑が鮮やかに見える」という点に、おしゃれさを感じ、選ばれる方が多いようです。
「ブラウン」のランドセルが与えるイメージ
- 気品
- 高級感
- 大人っぽさ
- 堅実
ブラウン系のランドセルは、女の子にも人気があるカラーで、男の子の場合はどちらかというと、子どもよりも親の方に喜ばれる傾向があります。落ち着いた色合いで、革のような高級感が漂っている点が、その理由。大人っぽい雰囲気のカラーですから、背伸びしたい子どもなら憧れそうですね。
女の子に人気のランドセルカラー
ランドセルの人気カラーは、年々変化を見せています。ランドセル工業会の調べによると、女の子が選ぶランドセルの色で毎年1位だった「赤」が、2021年は2位に転落したそうです。果たして1位のカラーは?
「紫(ラベンダーなど)」のランドセルが与えるイメージ
- 大人っぽさ
- 気品
- 優しさ
- 落ち着き
定番の赤を抜いて、2021年の人気カラー1位になったのが「紫(ラベンダーなど)」。赤に0.4ポイントの差をつけて、21.5%の子が選びました。子どもの視点からは、「かわいらしさと大人っぽさのあるカラーだから」、親の視点だと「気品と華やかさ、そして落ち着いた雰囲気を併せ持つこと」が人気の理由のようです。
「赤」のランドセルが与えるイメージ
- 安定感
- 女性のイメージ
- 元気で活発
- 注意をひく
「赤」といえば女性というイメージは、今も健在。とはいえ、シェアは21.1%ですから、昔よりも人気は低下していることがわかります。赤には情熱的で、元気かつ活発なイメージもあります。また、外を歩いていても注意をひく色ですから、安全性の点でも効果がありそうです。
「ピンク」のランドセルが与えるイメージ
- かわいい
- 女の子らしい
- 優しい
- 派手
女の子の大好きな色といえば「ピンク」。一時期は1位に選ばれる時代もありましたが、高学年になると派手で飽きられる傾向があるためか、今は3位に。といっても、2位の赤とほとんど変わらず、19.3%の子が選んでいます。
「水色」のランドセルが与えるイメージ
- 知的
- 誠実
- 爽やか
- 自由
最近は、明るいパステルカラーのランドセルが人気のようです。爽やかな水色は、空や海をイメージさせるナチュラルカラーでもあります。以前は男の子に人気のカラーでしたが、最近は女の子の方が選ぶことが多くなっています。
「キャメル」のランドセルが与えるイメージ
- 上品さ
- 高級感
- ナチュラル
- 温もり
「キャメル」は、男女ともに注目が集まっているカラー。男の子は濃い色のブラウン系に人気が移っていますが、女の子には上品さと高級感のあるキャメルが選ばれるようです。子どもよりも親の方が好む傾向のある色でもあります。
この色でいいの?特徴的な色を選ぶときのポイント
最近は、子どもの意見を重視してランドセルを選ぶ親が増えています。とはいえ、子どもが斬新な色を選んだとき、「別の色に変えさせたい」と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
親として心配な点と、その解決策を紹介しましょう。
珍しい色だと、いじめられないか?
特徴的な色のランドセルを購入すると、「いじめられるのでは?」と心配になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ただ、実際にランドセルのカラーでいじめにあったという話は滅多にありません。子どもにとってランドセルは、荷物を運ぶ道具でしかありませんし、ほかにも持っている子がいると仲良くなれるといったメリットもあります。
大切なのは、本人が気に入っていること。気に入っていれば、周りから何か言われても気にしない子が多いので、あまり否定的にならない方が良いと思います。
明るい色だと汚れが目立ちそう
パステルカラーのランドセルで気になるのが、「汚れが目立つのでは?」という心配ごと。男の子を持つ親なら、なおさらそう思うでしょう。
現在のランドセルは、撥水性や防汚性に優れた素材を使っているものも多く、定期的にお手入れをすれば、それほど目立つことはない仕様になっています。
それでも気になるという方は、ランドセルカバーを付けて対策するのも一手でしょう。
子どもが飽きるのでは?
低学年のころと高学年とで、嗜好が変化する子はたくさんいます。そこで問題になるのが、高学年になって「この色だと恥ずかしい」とランドセルを使わなくなるケース。男女問わず、よく聞かれる話です。
これを防ぐには、購入するときに「6年間使い続けるのに本当にいいの?」と、子どもとよく話しあうことが大切です。子どもに「自分で選んだ」という責任感を持たせることで、飽きる心配を拭えたという話も聞かれます。
どうしても嫌だとなったら、好みのカバーをつけて対応するのも一手でしょう。
まとめ
カラーバリエーションが増えたことで、さまざまな色のランドセルを背負って登下校する子どもたちを見かけるようになりました。ちょっと斬新なカラーでも、周りに同じ色の子がいる可能性は十分にありますし、個性を輝かせるアイテムとしてランドセルが一役買うことだってあるでしょう。
重要なのは、子どもの意見に寄り添いながら最終的には子どもに選ばせること。そのときの気分だけでなく、将来を見据えて親が丁寧に説明しながら、どの色が良いか決めさせるようにしましょう。