近年の日本は、大きな地震や台風、水害などの人的被害をもたらす災害が多発しています。「子どもが登下校中に、万一災害に見舞われたら…」と不安に思っている方も多いのではないでしょうか。
そんな緊急事態のときに、ランドセルが子どもの身を守るのに活用できることがあります。今回は、ランドセルや付属品を使った防災のポイントを紹介します。
落下物から身を守る
大きな地震が発生したときには、落下物に当たらないよう頭を守りながら安全な場所に避難することが大事です。
学校によっては各生徒の防災頭巾が設置してあり、訓練のときにはそれを被って避難している地域もあります。しかし、登下校中に災害にあった場合、防災頭巾を使えないこともあるでしょう。
そこで使えるのが、ランドセルです。ランドセルを頭の上にのせて防災頭巾の替わりにすることで、登下校時でも落下物から身を守れます。これは現在、多くの学校で指導している安全確保の方法です。
また、ランドセルを背負ったままでも身を守る方法があります。大きな地震が発生したら、ランドセルのかぶせを片手に取り、顔の前まで強く引っ張り頭を隠します。これだけでも、落下物から身を守るのに効果があります。身を伏せてうずくまる場合には、体育座りで体を小さくまるめ、かぶせ部分で全身を守るという方法も有効です。
地域によっては、これらの方法も学校で教えているようですが、もし教えていないということであれば、子どもと一緒に練習してみましょう。
子どもとはぐれたら…
日中など家族が離れた場所にいるときに、大きな災害が発生した場合に備えて、指定避難所を決めている家庭もいらっしゃるでしょう。大人であれば自分の意志で避難所に向かえますが、子どもが小さいと一人で行けないことも考えられます。
こうした状況でも、ランドセルが大いに活用できます。ランドセルのかぶせの内側などにある連絡欄を、緊急連絡シートとして使う方法です。
通常、連絡欄には名前や住所、電話番号、血液型などの項目を記載しますが、ここに災害や緊急事態に備えて家族の情報や避難先なども記載しておきます。こうすることで、子どもが迷ったり一人でパニックになったりしても、まわりの大人が助けやすくなります。
緊急連絡シートに記載する内容には、以下の項目です。
■本人の情報
・子どもの名前
・住所
・電話番号
・血液型
・生年月日
■家族の情報
・家族の名前
・家族の勤務先と連絡先
・指定避難所(家族の集合場所)
・災害時伝言ダイヤルの電話番号(災害用伝言板のURL)
普段は自分の名前や年齢などを言える子でも、大きな地震などの際にはショックで言えなくなることもあります。そんなときでも、緊急連絡シートがあればはぐれた家族と会える可能性が高まります。
防犯ブザーも災害時に有効
ランドセルの肩ベルトなどに付ける防犯ブザーは、文字通り防犯対策として活用するものですが、災害時に助けを呼ぶ道具としても生かせます。
万が一、大きな地震で倒壊した建物の下敷きになったとき、あるいは声が出せないような状況に置かれたとき、防犯ブザーでSOSを発することにより助かる可能性が高まります。
防犯ブザーには、ボタンを押したりひもを引っ張ったりして音を鳴らすタイプと、笛を吹くホイッスルタイプがあります。音を鳴らすタイプは電池で動きますから、万一のときに作動するよう定期的にチェックをしましょう。ホイッスルタイプは、電池は不要ですが、いざというときに子どもが吹けない可能性もあります。いずれにしても、万一のときに使えなければ意味がありませんから、訓練をしておくことが大切です。
防災キットを持たせよう
防災ブザーやホイッスルのほかにも、ランドセルに常備しておくと安心な道具もあります。
たとえば、LEDライト。塾からの帰りなど夜間に災害に襲われた際、ライトで周辺を照らしたり、自らの居場所を教えたりするのに便利です。
また、防寒・保温シートがあれば、厳寒期や雨の日など体温が下がるのを抑えてくれます。
ランドセルメーカーでは、こうした防災時に役立つ道具をオプションで付けているところもありますから、万一に備えて購入しておくと安心でしょう。
水難事故にもランドセルが浮き輪の代わりになる
夏になると、池や川に子どもが落ちておぼれる水難事故にも注意したいところです。こうした事故でも、ランドセルが浮き輪の代わりになって命を守る役割を果たすことがあります。
ペットボトルやビニール袋を浮き輪の代わりにして水面に浮き上がるという訓練を目にすることはありますが、これと同様にランドセルも浮き輪になるのです。
この場合、ランドセルを身体の前に抱えて顔が水面に出るような体勢にすると効果があります。教科書などがたくさん入ったランドセルでも浮力の方が勝り、水に浮きますから、万一のときに教えておくと良いでしょう。
危ないところを一緒にチェックすることも大切
災害時に子どもの身を守るには、「危険な場所に近づかないよう教える」ことも大切です。通学路に、高いブロック塀のある場所や土砂災害が発生しそうな斜面など、子どもと一緒に歩きながら教えてあげましょう。
あわせて、何かあったときに助けを求められる場所を確認することもポイントです。交番、コンビニ、駅など、身の危険を感じたり困ったりしたときに駆け込める場所も教えましょう。
まとめ
ランドセルは、学用品を運ぶ道具としての使い方だけでなく、災害や事故にも有効な道具として活用できます。何かの衝撃で後ろに飛ばされたとしても、ランドセルを背負っていればクッション代わりとなって衝撃を吸収し、頭を強く打つ心配もありません。ランドセルが子どもの身体を守ってくれます。
災害はいつ、どこで発生するかわかりません。大きな地震などが発生したときに、近くに大人がいれば守ってあげられますが、子どもたちだけや一人でいるときには、自分の命を自分で守るしかありません。そんな状況で、ランドセルを使った身の守り方を教えておくことで被害を最小限に抑えられるはずです。ご家族で話し合ってみてはいかがでしょうか。