ランドセルは、6年間使っても壊れないよう頑丈に作られています。
しかし、アクティブに動き回る子どもたちが扱うわけですから、使い方によってはゆがみや変形が生じたり、パーツを壊してしまったりすることがあるかもしれません。
メーカーや商品にもよりますが、ランドセルにも壊れやすい部分があります。それがどこなのかを把握し、予防策をとることも壊れるのを未然に防ぐ一手です。6年間使い続けてもきれいな状態を保つために、知っておきたいポイントをまとめました。
ランドセルで壊れやすい箇所は?
まずは、ランドセルでよくある「壊れやすいポイント」を整理しましょう。
大マチの変形
大マチとは、教科書や筆記用具などの学用品を詰める箱型の構造をしたパーツです。頑丈なつくりになっていますが、商品によっては強い圧力がかかると変形やゆがみが生じることがあります。
たとえば、ランドセルの上に座る、おしりの下に敷いて坂を滑る、ランドセルを背負ったまま壁に寄り掛かるといった行動が、大マチを変形させる原因として多くみられます。
肩ベルトが切れる
ランドセルの中で負担のかかるパーツの一つが、肩ベルトです。ランドセル本体の重量に教科書などの重さを加えると2~4kgにもなります。その重量が肩ベルトにかかるため、糸がほつれたり、ひび割れしたりすることもあります。
また、肩ベルトを無理に引っ張って切れてしまうケースも、まれにあります。
背カンが取れる
背カンとは、肩ベルトの根元にある大マチとつなぐパーツのこと。ランドセルの背負いやすさは、背カンの構造が大きく影響します。ここも肩ベルトと同様に力のかかる部分ですから、壊れやすい箇所です。
背カンには、左右に動くスライド式の商品があります。この動きが長く使っていると鈍くなり、背負いにくく感じたり肩が痛くなったりすることも。商品によっては、背カンが取れてしまうケースもあります。
錠前が壊れる
錠前も毎日何度も使う場所ですから、壊れやすい箇所です。よくあるのが、荷物を詰め込みすぎた状態で無理やり閉じようとしたら、金具を壊してしまったというケース。錠前を差し込む生地を傷めたり、まれに生地ごと取れてしまったりする例もあります。
最近は、自動でロックがかかるオートロック式の錠前もあります。子どもたちが面白がって遊んでいるうちに、ロックがかからなくなる、外れなくなるといった故障もあるようです。
ナスカンが外れ元に戻せない
ランドセルの横についたフックのことを、ナスカンといいます。体操着を入れた袋や給食袋などをかけて持ち運べる便利なパーツですが、あまり重いものを吊るすと安全上の理由で外れる構造になっています。
一度外れたナスカンを元に戻すのは難しく、結局使えなくなるということもあります。
刺繍やステッチのほつれ
ランドセルのデザイン要素の一つが、刺繍やステッチです。職人がミシンや手縫いで丁寧に縫った刺繍なら、6年間使ってもほつれることはまれですが、商品によっては糸がほつれて取れてしまう場合も。購入する際には、縫製された部分をしっかりチェックすることが大切です。
かぶせの折り目やしわ
かぶせは、比較的に柔らかい素材でつくられています。ランドセルを開けっ放しにしたり、かぶせが折れ曲がった状態で放置したりすると、折り目や傷ができることがあります。アクティブな子だと、かぶせを下にした状態でランドセルを引きずって傷をつけることもあるでしょう。
また、現在のランドセルはしっかり防水加工がされていますが、雨に濡れてそのまま放置しておくと、変形やしわができる商品もあります。特に、防水加工の甘い牛革製のランドセルだと、濡れた革が引っ張られて伸びるなど、しわの原因になりやすく、扱いには注意が必要です。
壊れにくくする対策法
ランドセルを壊さないよう対策を施すことで、きれいな状態を長持ちさせられることがあります。購入時に確認したいポイントも含め、対策法を見ていきましょう。
「大マチ」は丈夫さをチェック
多くのメーカーでは、大マチの側面や底に補強材を入れるなど変形やゆがみ対策がとられていますが、商品によっては補強の甘いランドセルも見られます。商品を選ぶ際には、両手でぎゅっと押さえつけて確認してみてください。柔らかいものは型くずれしやすいため、手応えのあるしっかりとしたランドセルを選びましょう。
「肩ベルト」は成長にあわせて調整を
子どもが肩ベルトを強く引っ張る理由の一つに、ベルトの長さが合っていないことがあります。とりわけ男の子は、成長にともない肩幅や胸板に厚みが出てくるため、ベルトが合っていないと着脱時に強く引っ張ってしまうことも。成長にあわせて体にフィットする長さに調整してあげましょう。
「背カン」は構造をチェック
スライド式の背カンを選ぶときは、その構造を見極めることが大切です。スライド式の多くがプラスチック製ですが、その厚さが薄いと壊れやすい傾向にあります。肉厚で頑丈そうなものを選ぶのがポイントです。
「錠前」は無理な使い方を抑える
無意味に開閉したり、荷物を詰め込みすぎて留めたりといったことは、できるだけ避けましょう。また、オートロック式の場合は力を加えて留めようとして壊してしまうケースもみられます。手動錠前を選ぶのも一手かもしれません。
「かぶせ」は保管方法がポイント
かぶせに折り目や傷をつけないためには、きちんと閉じた状態で保管すること。無理に折り曲げたりしないよう、使わせましょう。また、しわを防ぐにはできるだけ濡らさないこともポイントです。防水機能の優れた商品を選ぶ、ランドセルカバーをつけるなどの対策を。濡れた場合は、日陰でゆっくりと乾かしましょう。ドライヤーなどの熱を加えると、しわの原因になります。
保証の付いたランドセルなら安心
どれだけ対策を施しても、6年間も使い続ければ壊れることだってあります。そんなときに強い味方となるのが、ランドセルメーカーの保証です。
多くのランドセルメーカーでは6年間のメーカー保証を付けており、無償で修理や交換などをしてもらえます。ただし、保証内容は各メーカーによって異なるのが注意点。たとえば、故意で壊した場合や、事故にあって傷ついた場合などは有償になるところが多いです。また、しわや変形などは修理対応ができないこともあります。
メーカーによっては、壊れた原因がわからない場合でも無料で対応しているところもありますので、ランドセルを購入する際には保証内容も忘れずに確認しましょう。
まとめ
ランドセルを壊さないよう子どもに教えることも大事ですが、それより大事なのは、購入する際に頑丈にできた商品を選ぶこと。上記で紹介した部分が壊れない構造になっているかを購入時にしっかり確認することが、6年間使い続けても壊れないための重要なポイントとなります。
ランドセルメーカーでは、ちょっと乱暴に扱っても壊れないよう、さまざまな工夫を施しています。そうした工夫を売場で説明してもらい、いつまでも使い続けられるランドセルを選びましょう。